クラウド時代のインフラエンジニアについて
環境がオンプレミスからクラウド環境へ移行した事によって、インフラエンジニアは淘汰されるのか。私はある程度イエスだと思う。
IaaS, PaaS どこまでクラウドサイドに委託するかに寄るが、仮にIaaSだったとしてWindowsServer, Linuxなどのサーバ構築、ネットワーク管理者の業務は無くなりはしないが確実に実施範囲は少なくなると思う。
もしくはPaaSだったとした場合だが、個人的にはPaaSというのが非常に厄介で、どこまでミドルウェア=プラットフォームと呼ぶかによって大きく変わってくる。例えば、基幹系のSAPであっても、純粋なS/4 HANAを最上位レイヤのアプリケーションと定義して、それ以外のData ServicesやSolution Manager, PI などを全てミドルウェア=プラットフォームと定義することがある。それらのすべてのミドルウェアを外部委託することは現実的に日本ではSIer自身がノウハウを蓄積していないために不可能で、ユーザ企業のエクセレンス人材が製品理解を推進してリードする事がある。
いずれにせよ、外部委託するとして、その「外部委託」という言葉が非常に誤解を生みやすい。単純なマネージドサービスであっても、ユーザ企業に要件がなければマネージド側は何も実装しない。ユーザ企業のインフラエンジニアには要件を明確に整理して伝える能力が要求される。
一方で、AzureやAWSを利用する場合はさらに厄介で、要件を伝える先が人間=サービス責任者ではなく、Azure ポータルなどの専用コンソール画面となる。専用コンソール画面は、操作側の人間がAzureの思想と構造と詳細を明確に理解できていないと全くもって使えないということが起こる。ここに誤解の元がある。過小評価されている。
一般的に、Azureに任せればインフラエンジニアは何もしない。と思われていないだろうか。現実はそうではなかった。私もAzureを学んで初めて分かったが、今まで物理的なサーバやルータを通して実施していた業務を、Azureの考え方に変換して同じ事をやっているに過ぎないのである。
とは言え、確実に単位あたりの作業量は減っている。そこで次に起こる状況は何であろうか。私はインフラエンジニアの数減らしではないかと思う。クラウド委託したことによってインフラエンジニアの数が今までより不要となったとの誤解をもとに、インフラエンジニアがアプリケーション開発などのフロントエンド業務に鞍替えされることが起こると思う。ただし、インフラエンジニアの数はゼロにはならず、今までと同じ数のサーバ管理が削減されたインフラエンジニアによって管理する必要が出てくる。
よって、クラウド時代にインフラエンジニアに起こる状況は二通りある。一つ目は、インフラエンジニアへのアプリケーション開発の要請である。二つ目は、(ひとりの)インフラエンジニアへの今まで以上の業務量の要請である。例えば、今まで3人で管理していたインフラを1人が担当するといった状況である。いずれも解決策は、フロントエンド開発の技術向上とクラウドサービス(Azure, AWS)の技術向上である。